高気密・高断熱の家にも自然の通風を

2011.11.05

窓の役割を考えるとき、光を取り入れることは当然として、通気性も非常に重要である。しかし近頃は、空調設備が普及したせいか、自然の通風ということを二次的に考える方が増えているように思える。特に建築の専門家に多く見られる。省エネルギーの観点から、国を挙げて密閉住宅を奨励している時代だから、通気性を考える建築家は少数派なのかもしれない。風通しのよい家というと、すき同風の入る昔の家を連想されるかもしれないが、そうではなく、部屋の窓の配置によって、自然の風が心地よく通り抜ける家を指す。もちろん、窓を閉めたときは、部屋の機能としてきっちり密閉されることは言うまでもないことだ。我が家の庭にはコノテガシワという木があるが、先日、茂った葉の中のほうから枯れ始めた。近所の植木屋に相談すると、「このまま密集した枯れ木を放っておくと、木全体が枯れてしまう。枯れた枝をすき取って風通しをよくすれば緑の葉が再び蘇りますよ」と教えてくれた。葉が密集していると、風通しが悪くなり、蒸れて、植物は枯れてしまう。ヒノキや杉を桂林する場合も、苗木は密に植えても、成長したら間引きをする。そのままにしておくと、お互いの幹や枝が通気や採光の邪魔をして、根も幹も枝も充分に育たない。人手不足で問引きができず、合風や大雪で倒木してしまった山林の話を聞かれたことがあるだろう。風は、植物にとって大事なものである。植物が世き出した酸素を風が運んでくれるから、風は人間や動物にとっても大事なものである。自然の風は流れや速さが不連続で、温度も微妙に異なり、そのような刺激を与えてくれるところに心地よさの秘密がある。室内の密閉と省エネルギーにだけ重点を置いた、温度調節中心の空調システムは、科学的とはいえない。一定の温度と一定の速さの風が、直接皮膚に当たるのは不快なものである。自然の風は、植物が作り出しか酸素を私たちのもとに運んでくれる。このような自然の通風を考えた家づくりこそ、科学的と言えるのではないだろうか。