いまにも崩れ落ちそうなマンション

2011.10.20

震災が起こってテレビに流れる画像を見ていると居ても立ってもいられず、現地に出向いた日を思い出す。震災から九日目だった。芦屋から三宮、三宮から長田へと歩いた。幹線道路からひと筋裏の小路に入ると、一階が倒壊して二階部分が道路に投げ出された木造家屋が行く手を塞ぐ。一階部分の柱と壁が破壊されて傾斜し、いまにも崩れ落ちそうなマンション。置き去りにされた車のフロントガラスに「全員無事です。○○さんのところにいます」と書いた貼り紙があった。ラジオのアナウンサーは各町内での入浴情報を読み続けている。一面の焼け跡。ヘリコプターの爆音が響き渡る。細い鉄骨だけが燃え残る、黒く煤けたアーケードの下を歩いた。電線がぶらぶらしている。小さな男の子が無心に自転車の練習をしている。猛火のなかでは鉄筋コンクリート造の建物であっても延焼を食い止めることはできなかったらしく、窓ガラスは吹き飛んで、外壁に火の手の跡を黒く刻んでいる。