低周波の準備がはじまった

2011.04.12

私は滝のような汗をかいたせいで、のどかからからに渇いていたが、そのままさっきの施術ベッドに戻ることになった。体は火照っているし、汗でショーツはぐしょぐしょに濡れているからとても気持ちが悪い。しかしそうも言っていられず、次の低周波の準備がはじまった。「このね、低周波までが体育の準備体操のようなものね」そう言いながら店長は、絡んでいるパットのコードをほどいた。低周波は仰向けの状態で足首、足の裏、腹部、ひざの裏、腕、もものつけ根などのツボにパットを当てて刺激させる。これが人工的にカロリーを消費させるものだということは、はじめてエステサロンに来たときに説明された覚えがあった。低周波の機械はそんなに大きい物ではなく、コードの差込口がたくさんあって、タイマーがついている。コードに差し込んだパットをツボに当てて、バンドでしっかりと固定し、顔だけ出した状態で、ベッドの上に敷かれている使い捨てのビニールシートで体全体を覆っていく。それから自分のバスタオルをその上から体にかけ、スイッチを入れていく。「足首から順番に電源を入れていくので、ちょうどいい強さのところでストップと言ってね」感触は肩凝りなどをほぐす低周波と同じで、どくどくと体に当たるような感じがした。これをはじめるとまた汗をかきだすので、電流の強さは弱めに設定したほうがいいらしく、私は肌に感じる程度にした。これを15分行うことになった。「この間は寝ないでね。寝てしまうと効果が得られないの」「そうなんですか」「眠ると神経も眠ってしまうから、消費しなくなっちゃうの」身動きができないから、眠ってしまうほうが楽だと思った。しかしだんだん体が熱くなりはじめ、すでに濡れているショーツとビニールシートが張りついている間に、汗がまた流れ込んできて、不快感が増して眠くなるどころではなかった。「普段はビニールシートの下に、遠赤マットっていう遠赤外線で暖かくなるマットを敷くの。体を包み込めるほど大きいものなんだけど、最初からそれをしちゃうと汗をかきすぎて疲れちゃうから、次回からはじめるね」足もとに立って微笑んでいる店長を、私は下目に見ながら黙って頷いていた。このままの姿勢で15分を過ごすのは、とても苦痛なことだった。私の隣の客も天井を見つめたままただじっと耐えていた。
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