細くも太くもない理知的な手には、いつ会っても違うおしゃれなブレスレットや時計がつけられ、その指先には、控えめながら凝った組み合わせのフレンチネイルが輝いていた。男にも女にも人気があって、はつらつと仕事をしていた彼女には、人生の憂いなど避けて通っていきそうだったのに……と、人の運命のきびしさを思わないではいられなかった。それから三ヵ月ほどが経った頃、たまたま彼女のいる北国へ旅をすることがあり、連絡を取ってみた。小さな田舎の都市の、駅前の喫茶店にやってきた彼女は別人のように見えた。髪は後ろでひとつに結ばれ、あの美しかった弓形の眉は太いまっすぐな眉に変わっていた。爪は短く切られ、もちろんマニキュアもない。趣味のいいTシャツにデュムという格好ではあったけれど、東京にいたときの輝くようなオーラは掻き消えていた。けれど、そのオーラの代わりに、彼女から不思議なきれいさが発せられていることにわたしは気がついた。