私が社長邸を見学した2日後、再び私は息子たちと社長邸を訪れました。しかし、社長邸を見学した息子は、その帰り道、いささか不機嫌でした。今まで何度となく住宅メーカーと打ち合わせを重ね、間取りまで決定しておきながら、それがすべて白紙になり、もう一度最初から同じ時間と労力を費やさねばならないことにうんざりしているようです。貴重な休日がつぶれ、これからまた某建設会社と何度も打ち合わせをしなければならないことを考えると、頭が痛いというわけでしょう。「お母さんたちは24時間、家のことばかり考えていればいいかもしれないけど、僕は仕事で精一杯なんだよ。ほっとする時間がなくなるのがいやなんだ」今の息子にとっては家づくりは楽しいというより、辛いことなのでしょう。また、先行き不透明な社会情勢のなか、借り入れをする不安もあるのでしょう。「お母さんたちは、家にいろいろこだわるけれど、はっきり言えば、僕たちは建て売りでも何でもかまわないんだよ。経済的に負担にならないということがいちばんの条件なんだから。廊下や階段の幅は広いほうがいいっていうけど、僕たちは廊下が狭くても部屋が広いほうがいいんだよ」忙しい母親のもとで育った息子は、自分のことを振り返ってみて子供が小さいときは奥さんにはできるだけ家にいて、子育てに専念して欲しかったようです。家のローン返済のために、奥さんが働きに出るのはいやだというのです。「それにお母さんは業者にあまいんじゃない“お母さんは、お客さん”なんだよ。そりゃ、業者はお客さんに逃げられまいとしていいことをいうよ。大手住宅メーカーのほうが社員もきちんとしているし、見積もりも安心だし、メンテナンスだってしっかりしているんじゃないか」